聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(どれほどみっともなくとも! この行動に難色を示されようが、構わない……!)

 王太子は声が嗄れるまで、己の主張が叶うまで騒ぎ続けた。

「君のことを考えるだけで、胸が苦しくて……っ。好きという気持ちが溢れて止まらない……!」

 どれほど聖女天使を愛しているか。
 彼女のために、何ができるか。
 クロディオよりも、自分を選んだほうが得だと――この場に姿が見えない少女へ訴えかける。

「お願いだ……! クロディオ……! 僕に、彼女を返してくれ……!」

 ――それが口を成したかは、定かではない。
 しかし――王太子の願いは、パロニード辺境伯には届いたようだ。
 兵士達を伴った男が、その場に姿を現す。

「彼女がいつ、君のものになったんだ」
「クロディオ……!」

 彼の名は、クロディオ。
 パロニード辺境伯領を治める、領主だった。

「聖女天使は……!」
「みっともなく声を張り上げれば、彼女に会えるとでも? 相変わらず、浅はかだな」
「再び、君とこうして言葉を交わせる日が来るなんて……思いもしなかったよ……」
「言ったはずだ。次会う時は、剣を向けると」

 かつての親友は幼少期と変わらぬ剣呑な視線でフラティウスを見下すと、己に命じた。
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