聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「聖女天使を求めるのは、もうやめろ」
「無理だよ。そんなの、できない。彼女は、僕が最初に見つけたんだ!」
「ならばなぜ、彼女の手を離した」
「それは……! 勘違い、で……!」

 痛い腹を探られた王太子がしどろもどろになれば、涼しい顔をしたクロディオは金色の瞳を不愉快そうに歪めて告げた。

「君の婚約者は、ルイザ・バズドントと聞いているが」
「あれは、手違いなんだ! 僕が愛しているのは、聖女天使だけで……!」
「ならば、しっかりと関係を精算してから求婚してはどうだ」
「う……」

 正論ばかり並べ立てるかつての親友に反論の余地がないほど追い込まれたフラティウスは、唇を噛み締めて黙った。

(何か、言わないと……)

 拳を握りしめて悔しそうに視線をさまよわせると、苦しい胸の内を吐露する。

「ルイザが、婚約破棄に反対しているんだ。そんな、簡単にはいかないよ……」
「いいや。それだけが、理由ではないはずだ」
「何を……」
「婚約者と関係を続けたままでいるのは、聖女天使に拒絶された時の保険だな」
「違う……!」
「君は不誠実で、自分勝手で、周りが見えていない。俺はそれが、憎たらしくて堪らなかった」

 耳を疑うような発言を受けたフラティウスは、呆然とクロディオを見上げた。
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