聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(あいつが……。僕を、憎いって……?)

 誰に対してもぶっきらぼうで無愛想。
 目つきが鋭くおっかないと恐れられるクロディオと一番うまくやれているのは自分だと自負していた己にとって、この告白は衝撃的だったからだ。

(どうして……?)

 ずっと好かれていると思っていた人間に、憎悪を向けられていると知ったのだ。
 フラティウスは何度も自問自答を繰り返すが、彼が自分にそうした敵意を向ける理由には思い当たれない。

「ただ王太子というだけですべてを手に入れ、笑顔で踏みにじる。そんな君を、誰が好意をいだくと言うのか――」
「クロディオ? 何を……」
「聖女天使は、君の手紙を破り捨てた。その意味が、わからぬとは言わせんぞ」
「あ、あの子が……? ど、どうして……!」
「迷惑がられているのにすらも気づけぬなど……。手の施しようがないな」

 フラティウスが困惑の色を隠しきれず、呆然と目を見開いていると――かつての親友から、さらなる爆弾が投下される。

(僕の手紙を、あの子なら……きっと、喜んでくれるはずだって……信じていたのに……)

 自身の好意を最愛の聖女天使から拒絶されているなど、認められるはずがない。
 王太子は必死に首を振って、その事実を否定した。
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