聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「う、嘘だ……。だって、聖女天使は……。僕に、笑いかけて……」
「もう二度と、彼女を求めるな」
「クロディオ! このままあの子を保護し続ければ、どうなるか……! わかっているだろう!?」
「だから、なんだ」
「ルユメール王国と敵対してまで、守りたい存在なのか!?」

 自国は、野良聖女天使の存在を許しはしないだろう。
 ルイザが己のそばにいられたのは、王太子の婚約者であったからだ。
 今よりも戦争は激化し――クロディオだって、ただではすまない。

(辺境伯を継いでから、残忍酷薄と呼ばれるほどに血の涙もない男が愛した、たった1人の少女……。彼女はやはり、彼ではなく……。王太子である僕こそが隣にいるべき存在なのに……!)

 フラティウスは元親友に対する嫉妬と、愛する人を奪われた喪失感、クロディオが死んでしまうかもしれないという恐怖――それらすべてがごちゃごちゃに混じり合い、どうにかなってしまいそうだった。

「君には、関係のない話だ」

 そんな自分とこれ以上話を続けても時間の無駄だと悟ったのだろう。
 彼は冷たく言い放つと、フラティウスに背を向けた。
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