聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「待ってくれ……!」

 しかし、それを黙って見送るほど自分だって薄情ではない。
 たとえ辺境伯がフラティウスを、親友だとは思っていなかったとしても――己にとってクロディオは唯一無二の友人であることは変えがたい事実であった。

(どうか、考え直してほしい。そうしないと、君の命が危険に晒されるんだぞ……!?)

 いつかまた再び隣に並び立ち、笑い合う日を夢見ている王太子の思いも虚しく――パロニード辺境伯騎士団の面々を引き連れたクロディオは、自領へと戻って行った。

「どうして誰も、僕の願いを叶えてくれないんだ……?」

 フラティウスは、ルユメール王国の王太子だ。
 彼が願えば、なんだって叶うはずだった。
 なのに――誰1人として言うことを聞いてもらえず、己の無力さを痛感する。

 ルイザは婚約を破棄をしたくない駄々をこね、どれほど呼びかけても聖女天使は姿を見せない。
 かつての親友は、背を向けた。

(こんなはずじゃ、なかった……)

 フラティウスは悔しそうに唇を噛み締め、自らの身体を押さえつけていた兵士達の静止を振り切り、走り出す。
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