聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「な……! なぜここに、聖女天使が!?」
王太子の背後から素っ頓狂な声を上げた老紳士が、天使を凝視して叫び出す。
(見つかっちゃった……)
少女は真っ青で全身を震わせながらもどうにかフラティウスに妹の髪飾りを握らせ、再び彼と距離を取った。
「殿下! 何をやっているのです! 今すぐ彼女を、捕らえないと!」
「騒がないでくれ」
「しかし……! 神殿の悪行が、神に知られては……!」
王太子は大騒ぎする老紳士に声を落として語りかけるが、男性は不穏な言葉ばかりを口にする。
(逃げなきゃ……)
この舞踏会には、妹だけではなく父親も参加しているのだ。
こんなところで鉢合わせたら、何を言われるかわかったものではない。
「これ、渡して」
「あ……っ! 待ってくれ……! どこにいたとしても……! 僕は君を、見つけ出す! だから!」
身の危険を感じたセロンは王太子の静止を振り切り、再び翼をはためかせて浮上する。
「忘れないでくれ! 今日から君は、僕の婚約者だ……!」
フラティウスの一方的な婚約宣言に頷くことなく――バルコニーに、1枚の羽根を残して……。
王太子の背後から素っ頓狂な声を上げた老紳士が、天使を凝視して叫び出す。
(見つかっちゃった……)
少女は真っ青で全身を震わせながらもどうにかフラティウスに妹の髪飾りを握らせ、再び彼と距離を取った。
「殿下! 何をやっているのです! 今すぐ彼女を、捕らえないと!」
「騒がないでくれ」
「しかし……! 神殿の悪行が、神に知られては……!」
王太子は大騒ぎする老紳士に声を落として語りかけるが、男性は不穏な言葉ばかりを口にする。
(逃げなきゃ……)
この舞踏会には、妹だけではなく父親も参加しているのだ。
こんなところで鉢合わせたら、何を言われるかわかったものではない。
「これ、渡して」
「あ……っ! 待ってくれ……! どこにいたとしても……! 僕は君を、見つけ出す! だから!」
身の危険を感じたセロンは王太子の静止を振り切り、再び翼をはためかせて浮上する。
「忘れないでくれ! 今日から君は、僕の婚約者だ……!」
フラティウスの一方的な婚約宣言に頷くことなく――バルコニーに、1枚の羽根を残して……。