聖女天使を苦しめた国に、天罰を
 その場に泣き崩れた元婚約者へ冷たい視線を送ったフラティウスは、部屋の隅に控えていた使用人達へ命じる。

「彼女を伯爵家へ」
「かしこまりました」
「あんたも! セロンも! 絶対に、許さないから……!」

 四肢を拘束されていた彼女は鬼の形相で恨み言を口にすると、その場から去って行く。

(あの子は、セロンって名前なんだろうか……)

 可憐な聖女天使の後ろ姿を脳裏に思い浮かべたフラティウスは、微笑みを深めた。

(僕だけの、聖女天使……。必ず、迎えに行くからね……)

 そして――ルイザと婚約破棄を済ませた彼は、いつしかルユメール王国でこう称されるようになる。

『野良聖女天使狂いの王太子』

 と――。

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