聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「ありが、とう。クロディオがいない時、安全。守られるの。あなたのおかげ」
『ボクよりも、あいつが大事なんだろう? もういいよ……』
「うんん。みんな、仲良しがいい」
『セロン……』
「クロディオ。ペガサスが本気で嫌いなら、わたしが触れるの。許さなかった。優しい、でしょ?」
『それは、同意しかねるけど……。君がどうしてもって言うなら、仕方ない。クロディオ。彼女を泣かせたら、許さないからな!』

 ゆっくりと瞳を開いた神馬はクロディオに凄むと、鼻を鳴らしながらセロンに寄り添った。

「ペガサス、もう……。わたしとクロディオ、引き裂こうとしないって」
「そうか。それはよかったな」
「ん……。準備、できた?」
「君はいつも、そればかり聞くな」
「だって……。あの国、滅ぼせば……。みんなも、幸せ。でしょ?」

 セロンはまだ見ぬ同胞の姿を思い浮かべ、再び瞳を潤ませ――涙声で助けを求める。

「わたしが、幸せいっぱいな、間にも……。みんな、苦しい。悲しんでる。だから……」
「そう、だな……」
「クロディオは、助けたくない……?」
「いや。愛する天使の願いなら、叶えてみせよう。何があっても、絶対に」

 そんな愛する天使の懇願に感銘を受けた彼は、当然のように金色の瞳へ確かな決意を宿らせると、しっかりと頷いた。
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