聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「わたし達……。とっても危ない橋、渡っている。今にも、崩れ落ちそうな……」
「俺が王族なら、よかったんだが……」
「うんん。クロディオ、辺境伯で、よかった。みんなから遠ざけられていたおかげで、わたし。こうして、心の隙間。入り込んだ……」
漆黒の髪に、金色の瞳。
よく鍛え抜かれた体躯と高身長。
そして、鋭い眼光が印象的なクロディオは――もしも人々から恐れられていなければ、引く手あまただったはずだ。
(わたしと出会う前、ほかの人と、お付き合いしていたかも……)
あり得たかもしれない未来を思い浮かべて悲しくなったセロンは、瞳を潤ませてしょぼくれる。
そんな最愛の天使を目にしたクロディオはどこか遠くを見つめながら、優しい声で呟いた。
「偶然が重なり合い、生まれた奇跡……か。ロマンティックだな」
「ん。そういうの、好き?」
「いや……。それには興味を持てないが、セロンは愛しいと感じている」
クロディオはセロンに対する言葉では伝えきれない愛を注ぐように、天使を抱きしめる力を強めた。
「俺が王族なら、よかったんだが……」
「うんん。クロディオ、辺境伯で、よかった。みんなから遠ざけられていたおかげで、わたし。こうして、心の隙間。入り込んだ……」
漆黒の髪に、金色の瞳。
よく鍛え抜かれた体躯と高身長。
そして、鋭い眼光が印象的なクロディオは――もしも人々から恐れられていなければ、引く手あまただったはずだ。
(わたしと出会う前、ほかの人と、お付き合いしていたかも……)
あり得たかもしれない未来を思い浮かべて悲しくなったセロンは、瞳を潤ませてしょぼくれる。
そんな最愛の天使を目にしたクロディオはどこか遠くを見つめながら、優しい声で呟いた。
「偶然が重なり合い、生まれた奇跡……か。ロマンティックだな」
「ん。そういうの、好き?」
「いや……。それには興味を持てないが、セロンは愛しいと感じている」
クロディオはセロンに対する言葉では伝えきれない愛を注ぐように、天使を抱きしめる力を強めた。