聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「君に好意をいだいていなければ――あの目障りな男を、追い返してなどいない」
「クロディオ……」
「君こそ、どうなんだ」
「わた、し?」
「ああ。俺を、どう想っている」

 彼の告白を受けて多幸感でいっぱいになっていると、わざわざ聞くまでもないことを問いかけられた。
 セロンはこれまでの出来事を回想しながら、静かに告げた。

「初めて会った時。すごく、怖かった。信頼できそうにない。逃げるタイミングを、伺ってた……」
「ああ……」
「でも、ね? ペガサスと出会って、ここに連れ戻されて。あの人に復縁を迫られ、あの子にお墨つきを貰った今は……」

 天使は一度言葉を途切れさせると、どこか遠くを見つめながら告げた。

「血の繋がったとうさまよりも、信頼している。一番、大切な人……」
「セロン……」
「わたしが嫌いなのは、虐げてくるひと。好きなのは――優しく見守り、そばにいてくれるひと」
「自惚れても、いいのか」
「いいよ」

 彼はまだ、信じられない気持ちでいっぱいなのだろう。
 困惑した様子で彼女の手を取ると、掌へ優しく口づけた。
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