聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「ルイザ・バズドントだな?」
「な、何……?」
「聖女天使は、ルユメール王国の神殿で生涯を終える決まりだ。知らないとは言わせぬ」
「ち、違……っ! あたしは、人間よ!」
「黙れ!」
「きゃあ!?」

 真実を告げる己の主張になど聞く耳を持たない彼らは、ルイザを馬車から引き摺り下ろす。
 その後聖女天使の能力使用を阻するネックレスを首元に嵌め、同胞の元へと連れて行った。

「今日からここが、貴様の住む場所だ。大人しくしていれば、命までは奪わん」

 神官達はルイザにそう告げると、姿を消してしまう。

(ちょっと、これ……。どうしたらいいわけ?)

 どれほど考えたところで、答えは出ない。
 目の前には怯えの色を隠せぬ様子で身を寄せる、背中に純白の翼を生やした聖女天使達の姿があるのだから。

「あたしは聖女天使じゃないんだから……。こんなもの、なんの意味も……っ!」

 そう叫んだルイザは首につけられたネックレスに両手を伸ばし――そして、驚愕した。
 パキンと音を立てて、拘束具が外れたからだ。
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