聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(この際、重婚でもなんでもいいわ! どうにかして、婚約破棄さえ撤回できれば、それで……!)

 ルイザの企みを知らぬ聖女天使達は目配せをする。
 その後ピッタリと息を合わせ、一斉に大空へと羽ばたいた。

「な、なんだ!? これは……!」
「聖女天使が、逃げようとしているだと!?」
「馬鹿なことを……! 神殿の上空には、結界が張り巡らされている! 人間の力を借りぬ限り、脱出は不可能だ!」
「矢を放て!」

 神殿で暮らしていた聖女天使達が何者かによって拘束を解かれ、一斉に翼を広げたのだ。
 これにはさすがの協会側も驚きを隠せなかったようで、神官達は再び彼女達を捕らえるために躍起となる。

「ちょ、ちょっと待ってよ! あたしは人間だから、空は飛べないのに……! ここからどうやって、脱出しろっていうのよ!?」

 ルイザが慌てたように大声を張り上げれば、それを聞いた1人の聖女天使が空中から急降下してきた。

「あなたの力が、必要よ!」

 そう口にした少女は両手を広げ、ルイザを抱きかかえて空を飛ぶ。
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