聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「あなたは、どこに行きたい?」
「私達の悲願を叶えてくれた人間。望む場所に、連れて行ってあげる」

 長い間悩んでいたルイザは、やがて聖女天使にある願いを口にする。

「そうね。じゃあ――」

 ルユメール王国に舞い戻ったところで、ルイザはお尋ね者だ。
 神殿の人間に見つかった瞬間命を奪われかねない。
 ならば、忌々しくて仕方のない異母姉と決着をつけるために――。
 あの場所で騒ぎを起こすべきだと考えたのだ。

(今に見てなさい……!)

 ――こうしてルイザは、聖女天使の手によって自国と敵国の国境に送り届けられた。

「セロン・バズドント! 出てきなさい!」

 ルイザは地に足をつけた瞬間――仁王立ちで、異母姉の名を高らかに叫んだ。

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