聖女天使を苦しめた国に、天罰を
――舞踏会の会場から無事にバズドント伯爵家に戻ったセロンは何事もなかったかのように地下室へ閉じ籠り、いつも通りの生活を続けていた。
そんな、ある日のことだった。
「ここを抜け出したのか!?」
ノックもなしに怒鳴り込んできた父親の姿を目にして、娘は目を丸くしながら読んでいた本をぱたんと閉じた。
「神殿に認可されていない聖女天使など、お前以外には考えられない……!」
「と、う、さま……っ。い、痛い……っ!」
「お前はなぜ、私の言う事を聞かないんだ!? 今よりもっと苦しく、悲しい思いをしたいのか!?」
「わ、たし……っ。そんな、こと……っ」
「父親の許可なく、王太子の婚約者になるなどあり得ない……!」
娘の両肩を掴んで怒声を響かせる父親に目を丸くしたセロンが、必死に頭を振って否定をする。
すると――。
悲しそうに眉を伏せた彼は、低い声で天使を脅す。
「娘は、誰にも渡さん……。もう一度私の目を盗み、外へ出ようとするならば……。手足を縛りつけて、ここにも鍵をかける」
「とうさま……!」
「これ以上酷い目に会いたくなければ、大人しくしていろ! わかったな!?」
鬼の形相で娘に言い聞かせた彼はセロンの両肩を離したあと、苛立ちを隠せない様子で踵を返す。
その後、地下室を出て行った。
そんな、ある日のことだった。
「ここを抜け出したのか!?」
ノックもなしに怒鳴り込んできた父親の姿を目にして、娘は目を丸くしながら読んでいた本をぱたんと閉じた。
「神殿に認可されていない聖女天使など、お前以外には考えられない……!」
「と、う、さま……っ。い、痛い……っ!」
「お前はなぜ、私の言う事を聞かないんだ!? 今よりもっと苦しく、悲しい思いをしたいのか!?」
「わ、たし……っ。そんな、こと……っ」
「父親の許可なく、王太子の婚約者になるなどあり得ない……!」
娘の両肩を掴んで怒声を響かせる父親に目を丸くしたセロンが、必死に頭を振って否定をする。
すると――。
悲しそうに眉を伏せた彼は、低い声で天使を脅す。
「娘は、誰にも渡さん……。もう一度私の目を盗み、外へ出ようとするならば……。手足を縛りつけて、ここにも鍵をかける」
「とうさま……!」
「これ以上酷い目に会いたくなければ、大人しくしていろ! わかったな!?」
鬼の形相で娘に言い聞かせた彼はセロンの両肩を離したあと、苛立ちを隠せない様子で踵を返す。
その後、地下室を出て行った。