聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「あんた、自由自在に背中へ翼をはやせるんでしょう? あたしにも、分けてよ!」
「そんなの、できない……」
「ほんとに、使えないグズね……。じゃあ、いいわ! あんたの翼によく似た小道具を背負って、殿下を籠絡してみせるから!」
セロンが首を振って妹の願いを断れば、ルイザがどこからともなく用意したおもちゃの翼を取り出した。
それを背負うルイザの姿を目にした少女は、感情の籠もらない瞳でその光景をぼんやりと見つめる。
(あの人なら、わかってくれるって……。信じている……)
セロンとルイザは、異母姉妹だ。
半分しか血の繋がりがないため、顔たちや容姿がまったく異なる。
姉はシルバーブロンドとおっとりとした可憐な桃色の目を持つ、低身長で小柄な少女。
2歳違いの妹は紅蓮の炎を思い出させる赤髪と桃色の勝ち気な瞳が印象的な高身長で、スタイルのいい女性だった。
――共通点は、瞳の色だけ。
2人の違いは、全体を通してみればひと目見ただけでも明らかだった。
(ルイザが聖女天使を騙る、偽物だって……)
だからこそ。
ルイザの着替えを手伝わされたセロンは、心のどこかで期待していた。
「そんなの、できない……」
「ほんとに、使えないグズね……。じゃあ、いいわ! あんたの翼によく似た小道具を背負って、殿下を籠絡してみせるから!」
セロンが首を振って妹の願いを断れば、ルイザがどこからともなく用意したおもちゃの翼を取り出した。
それを背負うルイザの姿を目にした少女は、感情の籠もらない瞳でその光景をぼんやりと見つめる。
(あの人なら、わかってくれるって……。信じている……)
セロンとルイザは、異母姉妹だ。
半分しか血の繋がりがないため、顔たちや容姿がまったく異なる。
姉はシルバーブロンドとおっとりとした可憐な桃色の目を持つ、低身長で小柄な少女。
2歳違いの妹は紅蓮の炎を思い出させる赤髪と桃色の勝ち気な瞳が印象的な高身長で、スタイルのいい女性だった。
――共通点は、瞳の色だけ。
2人の違いは、全体を通してみればひと目見ただけでも明らかだった。
(ルイザが聖女天使を騙る、偽物だって……)
だからこそ。
ルイザの着替えを手伝わされたセロンは、心のどこかで期待していた。