聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「パロニード辺境伯! いい加減、諦めたらどうだ?」
「は……っ。この命、尽きるまで……! 俺は諦めん……!」

 口から勢いよく血を吐き出した男性は、剣を握る手に力を込めた。

(あの人は……。凄い……)

 虐げられるのが当たり前だったセロンにとって、何度も己を奮い立たせて敵に立ち向かうクロディオの姿は、光輝いて見えた。

(死なせては、いけない人……。あの人の力に、少しでもなれるのなら……)

 そう強い想いをいだいた少女は地面に倒れ伏した辺境伯の前に狙いを定め――。

「わたしを捨てた国など、滅びてしまえばいい……」

 こうして天使は、戦場に降り立った――。
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