聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(差し伸べた手を取ってもらえて、すごく嬉しかった。この人なら、信じられる。王太子とは、違うって……)

 そうして、セロンは気づいてしまった。
 少女は心の底からフラティウスを愛していたわけではない。
 自分を助けてくれる人であれば、誰でもよかったのだと。

(勝手に信じて、期待して。馬鹿みたい……)

 王太子は妹の嘘に惑わされ、ルイザを選んだ。
 クロディオはセロンを、自分のいい時に呼び出し聖なる力を発動させられる道具としか思っていない。

「何を迷っている」

 どちらも違って、どちらも信頼するに値しない存在であることは、明らかだった。

「はっきり、言えばいい」

 2人の男性を脳裏で比べていた天使が気持ちの整理をつけられず、今にも泣き出しそうな表情をしていると気づいたからだろう。
 クロディオはセロンの言葉を促した。

(本当に、伝えてもいいのかな……)

 少女はゴシゴシと目元に溜まった涙を指で拭い取ると、彼の顔色を窺いながら恐る恐る問いかける。
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