聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「なんか、雰囲気。違う……から……」
「これが俺の、平常時だが」

 何か文句でもあるのかと睨みつけられたセロンは、ビクリと肩を震わせて怯えた。

(怒った時の、とうさまみたいで……。怖い……っ)

 そんな天使の姿を目にしたクロディオは、これ以上の会話は無理だと悟ったのだろう。ため息を零すと、聞き慣れない名を呼んだ。

「ルセメル」
「はーい!」

 壁際に控えていた可憐な女性が元気な返事とともに、2人の前まで踊り出る。
 それを不機嫌そうに見つめていた彼は、セロンに視線を移し――ルセメルを紹介した。

「ルセメル・ゼグレマムス。これから君の、手足となる。好きに使え」
「初めまして! 聖女天使の侍女になれるなんて、夢のようです! これから、よろしくお願いしますね!」

 ぼんやりと焦点の合わない瞳でルセメルを見つめた天使は、小さく頭を下げて挨拶をする。
 態度の悪いセロンの姿を受けても満面の笑みを崩さずに、侍女は元気いっぱいな声を響かせた。
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