聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「本……」
「何がいい」
「聖女天使の話は、読み飽きた……」
「わかった。ルセメル。見繕ってこい」
「かしこまりました!」

 クロディオの指示を受けた侍女は了承の言葉を口にしたあと、姿を消す。
 すると――。
 室内には静寂が訪れ、セロンとクロディオの2人だけになる。

(気まずい……)

 天使は居心地が悪そうに、視線を落とす。
 そんなこちらの姿を、見かねたのだろう。
 クロディオはどこか呆れたように肩を落として、ポツリと呟く。

「あれは、騒がしくて敵わん」

 その声を耳にしたセロンは、恨みがましい視線を彼に向ける。

(そう思うなら、どうしてわたしの侍女にしたんだろう……。嫌がらせ……?)

 少女と目を合わせたクロディオは、即座にその瞳の置くに込められた意味を理解したようだ。
 辺境伯はセロンを見下したまま、真面目な顔ではっきりと天使に告げた。

「君はあまり、会話が得意ではないな」
「うん。人と話した経験。家族以外とは、ほとんど……ない……」
「そうだと思った。ルセメルはあの通り、黙れと命じても話し続けるほどのお喋りだ。会話慣れするには、最適な人材だろう」
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