聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「これ」
「上から5冊目……緑色の本ですね! このままスルスルって、抜いちゃってください!」
「スス……?」
「セロン様、やったことないですか? こう、両手を使って……ずずずいって! うまく、抜けますかね?」
「やってみる……」

 ルセメルは不思議そうに首を傾げる少女の前で、片手を使って1冊の本を引き抜いた。
 天使は目当ての書物を手にするため、お手本通りに両手で緑色の背表紙を掴み――ゆっくりと手前に寄せる。

「そうです! とってもお上手ですね!」
「……わたし、凄い?」
「はい!」
「ルセメル、ありがとう……」

 セロンは目当ての本を両手で抱きしめると、その喜びを全身で言い表すかのように優しく口元を綻ばせた。
 真正面から天使の笑みを受け止めた侍女は、すぐさまクロディオへ視線を移して叫ぶ。
< 47 / 245 >

この作品をシェア

pagetop