聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「旦那様。もっと、セロン様を気にかけてくださいよ~」
「くどい」

 しかし侍女は2人がそばにいるのに一切会話をしないことが気がかりらしい。
 1時間ごとに辺境伯へ促すが、彼は大人しく本を読んでいるセロンを邪魔するのも忍びないと考えてくれたのだろうか?
 何度促されようとも、ピシャリと遮断しているのが印象的だった。

(面白かった……)

 一冊の本を読み終わり、パタンと本を閉じる。
 その様子を目にしたルセメルは、パンっと両手を叩いて笑みを浮かべた。

「セロン様! そろそろ、夕食のお時間ですよ!」
「ご飯……?」

 天使はこてりと首を傾げたあと、あたりを見渡す。
 窓の外はいつの間にか夜の帳が下り、真っ暗になっていた。

「食堂に移動いたしますか?」
「いや、ここでいい。持ってきてくれ」
「かしこまりました!」

 2人の会話を耳にしていたセロンには、悲しそうに目を伏せてぽつりと呟く。
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