聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「わたしのご飯、3日に一度きり。今日は、食べられない日……」
「なんだと?」

 どんなにお腹が空いていても我慢しなければならないと、幼少期の頃から散々家族に教え込まれてきたのだ。
 それを破ったら、食べたものを吐き出してしまうほど恐ろしい目に遭う。
 どれほど辺境伯が不機嫌そうにしか聞こえない問いかけをしてきたとしても、日頃の習慣を変えるつもりはなかった。

「朝、昼、夕。今までは1日3回きっちりと、食べて来なかったのか」
「どんなにお腹が空いても、我慢しなきゃいけなかった……。わたしは、野良天使だから……」
「ありえん……。聖女天使を、一体なんだと……。いや。君は、どれほど過酷な状況下で暮らしていたんだ……?」

 セロンの事情を耳にしたクロディオは、自問自答を繰り返すように呆然と呟く。
 それを聞き、ようやく自分が劣悪な環境で過ごしていたと自覚した。

「わたしの当たり前、あなたの異常?」
「ああ。腹いっぱいになるまで、好きなだけ食べるといい」

 天使が今まで置かれていた状況に心を痛めた辺境伯は、優しい声で諭す。
 しかし、セロンはその好意を素直に受け取れなかった。
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