聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「旦那様は、騎士団を率いていらっしゃいますから。出身こそ貴族ですが、マナーよりも食べれる時にすべて口に含むほうを優先するタイプなんですよ」
「そうなんだ……」
「幻滅したか」
「……うんん。お見事……」

 カトラリーをテーブルの上に置いた天使はパチパチと手を叩き、全ての料理を空にした彼の食べっぷりを称賛する。
 それを目にした辺境伯は、口元を綻ばせて不敵な笑みを浮かべた。

(褒めてもらえて、喜んでる……?)

 クロディオに直接問いかける勇気のなかったセロンはそう勝手に解釈すると、彼の胸に身体を預けた。

(こうして誰かとお話をしながら、食事ができるなんて……。夢みたい……)

 あのまま伯爵家の地下牢で過ごしていたら、一生経験などできなかっただろう。

(あの国を見捨てて、本当によかった……)

 辺境伯の逞しい胸板に寄りかかっていると、頭部から伝わるじんわりとした熱が眠気を誘う。
 空腹を満たしてうとうとと微睡み始めれば、上部から待ったをかけられてしまった。
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