聖女天使を苦しめた国に、天罰を

 ――どこからともなく、小鳥のさえずりが聞こえてくる。
 セロンはごろりと寝返りを打ち、ぱちりと目を覚ます。

(あれ……?)

 太い腕が己の膝上から転げ落ちていかないように、守ってくれる様子がなかったからだ。

(ふかふか……)

 真っ先に飛び込んできたのは、見慣れない天井。
 そして、ふわふわと寝心地のいい寝台の感覚だった。

(このままずっと、ここで横たわっていたいくらい……)

 固くて寝心地が悪く、ひんやりとした冷たい床でしか眠ったことがなかった天使は何度も寝返りを打ってこのまま二度寝したいという気持ちでいっぱいになったが、室内に誰もいないことに気づいて飛び起きる。

(ルセメルと、あの人……。いない……)

 なぜか開け放たれている窓の外からは暖かな日差しが差し込み、カーテンが揺れていた。
 まるでここから外へ出るなら今しかないと、誘っているかのように……。

(逃げるなら、今……)

 ぼんやりと外に繋がる扉を見上げていた少女は、背中に純白の翼を生やす。
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