聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「セロン様!? 大丈夫ですか!?」
「飛ぼうとしてる時、危険……。翼、もがれたら……。元には、戻らない……」
「す、すみません……! ですが、旦那様にご心配をかけるわけにはいかないので……!」
「心配……?」
「そうですよ?」

 ルセメルの口から思ってもみない発言が飛び出し、セロンは不思議そうに首を傾げた。
 しばらく2人は、無言で互いに顔を見合わせていたが――。
 いつまで経っても続きの言葉を紡ごうとしない侍女の姿を見越して、悲しそうに目を伏せた天使がクロディオの印象を語る。

「あの人……。よく、わからない……。わたしのこと、どう思ってる……?」
「あれはどう考えても、脈アリです! 好きに決まってますって!」
「蟻……?」

 セロンは聞き馴染みのない単語を耳にして、こてりと首を傾げた。

(わたしと一緒に床へ座るまでは、どうでもいい存在に対する扱いにしか見えなかった……)

 その後、食事に対する会話などからはこちらを心配する要素が見え隠れしていたが、完全に信頼できる人だと見極められたかと言えば別の話だった。
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