聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「旦那様に、朝のご挨拶を……」
「今すぐは、嫌」
「セロン様!」
「わたし、探しにいかなくちゃ」
「駄目ですよ!」
「誰かが、呼んでるの……」
「でしたら、旦那様と一緒に……!」

 自分を呼んでいる得体のしれない誰かと顔を合わせるまでは、絶対に外へ行くのを諦めない。
 そうセロンが頑なになっていると知り、観念したのだろう。
 何かを思いついた彼女は満面の笑みを浮かべ、明るい声で天使に提案した。

「そうだ! でしたら、一緒に気分転換をしに行きましょう!」
「てんか……?」
「はい! 私がセロン様に、領地内を案内いたします!」

 思わぬ誘いを受けたセロンは、当然断ろうとした。

「でも……。歩いて行くより、空を飛んだほうが……」

 しかし、天使の手に許可なく触れたルセメルは、どれほどセロンが難色を示しても諦めなかった。

「旦那様に何か言われたら、この国のいいところをたくさん知りたかったって言いましょう! そうすれば、勝手に抜け出しても文句は言われません!」
「わたし、1人で……」
「さぁ! 行きましょう!」
「話、聞いて……」

 ルセメルはどうにも気乗りしない様子を見せていたセロンの指先を離れないように握りしめると、クロディオの許可を得ずに天使を領城から連れ出した。
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