聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(野良聖女天使が2人も同じ家から産まれるなど、あり得ない……)

 彼は優秀な部下が調べ上げた資料に目を滑らせ――天使の妹が王太子と婚約するまでは、バズドント伯爵家の令嬢として普通に暮らしていたと知る。

(あいつの悪い癖が、出たな……)

 人を疑うことを知らないフラティウスはルイザの言葉を真に受け、彼女が聖女天使と信じ切っているのだろう。

(神殿に管理されることを恐れる野良聖女天使が、貴族令嬢として表舞台で何不自由なく暮らしていたほうがおかしいと、なぜ思えないのか……)

 クロディオは報告書を握りしめる力を強めると、それを机の上に投げ捨てて椅子に身体を預ける。

(俺の、せいか……)

 友人が間違った道を歩んでいく姿を目の前にして、付き合いきれないと縁を切ったせいで――辺境伯はすべてを失った。

(あいつのそばに今もいれば……。このような悲劇を生むことは、なかったかもしれん……)

 悔しそうに唇を噛み締めたクロディオは、床の上に座って大人しくしている天使を見つめた。
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