聖女天使を苦しめた国に、天罰を
『わたしを捨てた国など、滅びてしまえばいい……』

 ――セロンはルユメール王国に、強い恨みをいだいているようだ。
 もしもその対象が、フラティウスであったとしても――。

(あいつに剣を向ける理由が、どうであれ。昔馴染みであろうとも、容赦はしない……)

 こうして野良の聖女天使がクロディオの元に転がり込んできた以上、ルユメール王国がありとあらゆる手段を使って少女達を独占してきた現状に一石投じる結果となるだろう。

(我が国は、かねてより聖女天使を欲していた。彼女を無碍に扱うものは、誰であろうと許さん……)

 辺境伯は何があっても、セロンを手放す気はなかった。

(身体の奥底から湧き上がる、この感情は一体なんだ……?)

 クロディオは眉を顰めて、彼女の姿をじっと観察する。

(青く澄み渡る桃色の瞳を、こちらに向けてほしい。彼女と触れ合いたい。誰にも、渡したくない……)

 ――彼は長い熟考の末、それが独占欲だと気づく。
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