聖女天使を苦しめた国に、天罰を
『旦那様はもっと、セロン様に優しく接するべきです!』

 それでも――。
 侍女の姿を思い浮かべた直後、居ても立っても居られなくなってしまった。
 辺境伯は勢いよく椅子から立ち上がると、走り出す。

(俺が、悪かった)

 クロディオは耐えられなかった。
 自分の知らない所で、彼女が傷つくのが。
 命を助けられた恩返しすらしていないのに、引き離されるのが。

(君がもし、俺の元から離れる決意をしたのであれば――今度こそ、大切にすると誓う。何があっても、セロンを最優先に生きていく)

 天使に対する恋慕が、歪な執着心へ変化していくのを感じながら。
 辺境伯は天から迸る眩い光を目指し、全速力で目的地に向かって走り出した。
< 71 / 245 >

この作品をシェア

pagetop