聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「おいしい……」
「でしょう? 旦那様は有事の際に備えて、自給自足をモットーとしているんです! この果実園が無事な限り、戦士が空腹に喘ぐ心配はありません!」
「そう、なんだ……」
「はいっ」

 自慢げに語るルセメルの声を耳にしたセロンは、ぼんやりと思考を巡らせる。

(ロセアガンム王国は、とっても緑豊か……)

 ルユメール王国は空から見渡した限り建造物がひしめき合い、窮屈な印象を与えていた。
 それに比べたらこの国は自然豊かで空気がおいしく、天使にとってはとても住みやすい環境であった。

(時折吹き荒ぶ風が、気持ちいい……)

 長い銀髪を揺らしながらその心地よさを堪能した天使が、嬉しそうに目元を緩めたからだろう。
 そんなセロンの姿を目にした侍女は、小さな手を引いて次の場所へと案内する。

「セロン様! 次は、露天商に参りましょう!」

 緑豊かなフルーツ畑を抜けた2人は、舗装された道をまっすぐ進む。
 ――それから、5分程度の時間が経過した頃だろうか。
 セロンは侍女とともに、人が行き交う街へ到着した。
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