聖女天使を苦しめた国に、天罰を
(道具扱いされるのは、やっぱり、悲しい……)

 セロンはクロディオの胸元から手を離すと、悲しそうに目を伏せた。
 このまま彼を見上げ続けていれば、泣き顔を見られてしまうと危惧したからだろう。

(泣いたって、何も解決しない……)

 天使は必死に唇を噛み締め、潤んだ瞳から涙がこぼれ落ちないように耐え続けた。

『こんな奴、やっぱりセロンの伴侶にはふさわしくないよ』
「でも……」

 そんな少女の姿を目にしたペガサスは、クロディオに敵意を向ける。

「わたし、あなた達が争う姿……。見たくない……」

 セロンが独り言を口にしたと、勘違いしているのだろう。
 辺境伯はセロンに訝しげな視線を送ると、天使に問いかける。

「なんと言っているんだ」
「あなたと一緒に、いるべきではないって……」
「黙れ」

 神馬の伝えたい言葉を耳にした彼は、大剣を握る手に力を込めた。

(このままじゃ、駄目だ……)

 1人と1匹の睨み合いは、今もなお続いている。
 このまま放置し続ければ、いつかは争いに発展するだろう。
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