聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「名前。呼ばれるの……。嫌だった……?」
「いや……」

 不安そうに問いかけた自分に、探るような視線を向けられるのが不愉快で仕方なかったのだろう。
 クロディオはバツが悪そうに天使から視線を逸らすと、大剣を鞘に収めてペガサスに複雑な視線を向けた。

「ペガサス」
『信仰心のない人間と一緒にいたって、不幸になるだけだ。ボクと一緒に、天界で暮らそう!』
「……ごめん、ね。少し、考えさせて」
『そんな……! どうして、こんな奴を選ぶんだ!?』
「わたしと、探してほしい」
『なんだって?』
「クロディオと一緒に、いる理由」
『セロンと……?』
「うん。答えが出るまで、そばにいて」

 辺境伯の説得を終えても、セロンはほっとひと息つく暇などなかった。
 天使はペガサスの目を真っ直ぐ見つめ、説得を試みる。
 すると――。

『仕方ないなぁ……。わかったよ。君がそういうのなら、僕が見極めてあげよう』
「うん。わたしと、クロディオ。ペガサス……。みんな、仲良し」

 神馬もセロンの熱意に、根負けしたのだろう。ようやくクロディオに対する敵意を霧散させると、少女の身体に頬を寄せた。
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