聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「セロン様は、凄いです! 先程まではあんなに痛くて、死を覚悟したのに……! もう、へっちゃらになるなんて! やっぱり、聖女天使様ですね!」
「この程度の傷を癒やすのは、聖女天使ならば朝飯前だ」
「そうやって威張るから、セロン様が怯えてしまったんじゃないですか!」
「あのまま、見殺しにしておけばよかったか……」

 クロディオはセロンを腕にいだきながら、残忍酷薄な辺境伯と呼ばれし鱗片を見せつける。
 それに異を唱えた侍女は、人の迷惑も顧みず力いっぱい声を荒らげた。

「だから! そんなこと言うから、残忍酷薄な辺境伯なんて噂になったんですってば! いい加減、周りにどう思われるかを考えた言動を心がけてください!」
「くだらん……」
「旦那様!」
「帰るぞ」

 天使に一声かけた彼は姿勢を正すと、当然のように幼子を抱き上げたまま歩き出す。
 ――その背後にはペガサスと、満面の笑みを浮かべる侍女を伴って。
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