聖女天使を苦しめた国に、天罰を
『どうして、嫌がるの?』
「まだ、答え。出てない……」
『そんなの、考える前から決まっているじゃないか! 僕達がこうして翼を広げても、こちらを見ようともしない! セロンは、大事にされてないんだよ!』

 ペガサスの叫びを耳にしたセロンは、悲しそうにクロディオの頭部をじっと見つめる。
 確かに彼は不愉快そうに眉を顰めながら書類とにらめっこしており、こちらを見ようともしなかった。

(それは聞いてみなくちゃ、わからない……)

 辺境伯が不機嫌そうにしているのも無理はなかった。

『そばにいてほしい』

 そう自分から願ったくせに侍女とともに無断で外出し、彼に連れ戻されたのだ。
 きっと、内心怒り狂っているに違いない。

(対話、大事……)

 セロンは翼をはためかせてクロディオの背後に浮遊すると、彼の耳元で囁いた。

「わたし、いらない?」

 こてりと首を傾げて告げたセロンは、辺境伯の様子を暫く空中に浮かんだまま観察する。
 彼は天使の声を耳にした直後、書類からぴたりと両手を離し――こちらを振り返る。
 そして、重い口を開く。
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