聖女天使を苦しめた国に、天罰を
「それは君の意見を聞いてから、伝えるとしよう」
「わ……っ」

 クロディオは少女の腰元に逞しい腕を回して引き寄せると、自らの膝上へ向かい合わせの状態で座らせた。

『セロン……!』
「いいの。平気……」

 ペガサスはすぐさま2人を引き離そうとしたが、天使は首を振って神馬を制する。

(わたしのお願い。ちゃんと、聞いてくれる……?)

 少女は不安で堪らなかった。
 しかし、そんなこちらの考えを見透かしたのだろう。
 天使に迷惑をかけるわけにはいかないと判断した獣は悔しそうに鼻を鳴らしたあと、大人しくなった。

(よかった……。あとは、クロディオと……。お話すれば、いいだけ……)

 ペガサスが床に降り立ち、不貞腐れたように辺境伯を睨みつける姿を横目にしながら。
 セロンは彼の胸元を握りしめ、クロディオを見上げた。

(不満、そう…………?)

 辺境伯の金色の瞳に隠された感情を読み取ったあと、どんな言葉をかけるべきかと迷う素振りを見せていたからか。
 クロディオはセロンの腰元に太い腕をしっかりと巻きつけて固定し、身を屈めた。
 その後、自らも身を屈めて桃色の目と視線を覗き込み、低い声で凄んだ。
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