甘えたがりのランチタイム
「でも西園さんがいてくれて良かった。おかげで泣かずに済んだし、美味しい食事にありつけたし」
「……いきなりご飯とか言って、迷惑じゃなかった?」
「迷惑? どうして?」
「……デリカシーのない奴って思われてるんじゃないかと思って……」
「あはは! そんなわけないよ。元カノのために涙を流さずにすんで良かったって思ってるくらいなんだから」
「……そっか。それなら良かった」
二人は微笑み合うと、再び食べ始める。その時、テレビの方向を見た茉莉花の目にあるものが映り、思わず喉を詰まらせそうになった。
「あのぬいぐるみ、同じのがうちにもあるよ! しかもサイズも一緒!」
それはすみだ水族館にしか売っていない、マゼランペンギンの特大ぬいぐるみだった。かなりの高額商品だったが、我慢出来ずに購入してしまったのだ。
すると裕翔が突然大きな声で笑い始めたので、茉莉花は驚いて体をビクッと震わせた。
「あはは! 急にごめんね。いや、あれ高かったよね。まさかあれを持っている人が俺以外にもいるとは思わなかったよ」
「私は……ベッドに置いて一緒に寝てるよ。抱き心地がいいから」
「俺も普段はソファに置いて、一緒にテレビ見てる」
茉莉花は部屋の中をぐるりと見渡した。まるで海の中にいるような、青に統一された部屋。ペンギンやクラゲの姿がちらほらと見え、茉莉花の気持ちを和ませてくれる。
なんて居心地の良い部屋だろう……。でもこの部屋に来るのは今日だけ。彼氏がいるのに、男性の部屋に一人で入るのは良くないことだからーーそう思いながら、落ち込む自分がいた。
「西園さんって、いつもお弁当なの?」
裕翔に話しかけられ、茉莉花は頷く。
「うん、外で食べる約束をしてない時は、なるべくお弁当にしてるよ。どうして?」
「あの、今日のお礼がしたくて……もし良かったら、明日俺がお弁当を作ってもいいかな?」
「えっ、風見くんが作ってくれるの? すごく嬉しいけど……大変じゃない?」
「早起きすれば大丈夫! それにこの間、西園さんのお弁当を食べちゃったからさ。そのお詫びも兼ねて。じゃあ明日のお昼は俺が予約したから、忘れないでね」
「わかった。ありがとう、楽しみにしてる」
こんなに嬉しい気持ちになったのはいつ以来だろうーー食事がいつもより美味しく感じ、茉莉花の顔には思わず笑みがこぼれた。
「……いきなりご飯とか言って、迷惑じゃなかった?」
「迷惑? どうして?」
「……デリカシーのない奴って思われてるんじゃないかと思って……」
「あはは! そんなわけないよ。元カノのために涙を流さずにすんで良かったって思ってるくらいなんだから」
「……そっか。それなら良かった」
二人は微笑み合うと、再び食べ始める。その時、テレビの方向を見た茉莉花の目にあるものが映り、思わず喉を詰まらせそうになった。
「あのぬいぐるみ、同じのがうちにもあるよ! しかもサイズも一緒!」
それはすみだ水族館にしか売っていない、マゼランペンギンの特大ぬいぐるみだった。かなりの高額商品だったが、我慢出来ずに購入してしまったのだ。
すると裕翔が突然大きな声で笑い始めたので、茉莉花は驚いて体をビクッと震わせた。
「あはは! 急にごめんね。いや、あれ高かったよね。まさかあれを持っている人が俺以外にもいるとは思わなかったよ」
「私は……ベッドに置いて一緒に寝てるよ。抱き心地がいいから」
「俺も普段はソファに置いて、一緒にテレビ見てる」
茉莉花は部屋の中をぐるりと見渡した。まるで海の中にいるような、青に統一された部屋。ペンギンやクラゲの姿がちらほらと見え、茉莉花の気持ちを和ませてくれる。
なんて居心地の良い部屋だろう……。でもこの部屋に来るのは今日だけ。彼氏がいるのに、男性の部屋に一人で入るのは良くないことだからーーそう思いながら、落ち込む自分がいた。
「西園さんって、いつもお弁当なの?」
裕翔に話しかけられ、茉莉花は頷く。
「うん、外で食べる約束をしてない時は、なるべくお弁当にしてるよ。どうして?」
「あの、今日のお礼がしたくて……もし良かったら、明日俺がお弁当を作ってもいいかな?」
「えっ、風見くんが作ってくれるの? すごく嬉しいけど……大変じゃない?」
「早起きすれば大丈夫! それにこの間、西園さんのお弁当を食べちゃったからさ。そのお詫びも兼ねて。じゃあ明日のお昼は俺が予約したから、忘れないでね」
「わかった。ありがとう、楽しみにしてる」
こんなに嬉しい気持ちになったのはいつ以来だろうーー食事がいつもより美味しく感じ、茉莉花の顔には思わず笑みがこぼれた。