知らない明日が来たとしても

【メッセージ通知:早川暁】

 表示された名前を見た瞬間、彼に引き止められたような気がした。
 

「……ごめんなさい、崇人さん。家にはあげられない」
「才佳……」


 崇人から距離を取り、はっきりとした口調で才佳は言った。
 

「今は一人で考えたいの。ちゃんと考えて、必ず連絡するから……それまで待っていてほしい」
「……そうだね、わかった。ゆっくり考えて返事をくれたらいいから。急に押し掛けて悪かった」


 柔らかい笑みを残して、崇人は去っていった。
 その背中が見えなくなった後、才佳は自室へと向かう。
 玄関に入った瞬間、緊張が一気に解かれたのか体の力が抜けた。
 へなへなと床に座り込みながら、手の中の携帯を確認する。


【メッセージ通知:早川暁】
『無事帰れた?』
『土日しっかり寝ろよ』
『最近クマすごいから』
『今日ずっと目じゃなくてクマ見ながら話してた』
『何か悩んでるならいつでも言えよ』
『じゃおやすみ』


 ご丁寧に最後は熊のキャラクターのスタンプまで押されている。
 クマクマうるさいなぁと呆れながら、思わず口元に笑みが滲んだ。
 何気ない連絡にこんなに救われていることを、暁は知らないだろう。
 携帯を握り締めながら目を閉じると、疲れ切った心が少しずつほぐれていくのがよく分かった。
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