知らない明日が来たとしても
「早川くんは飲み会行かなかったの?」
「……うん、面倒くさいし。でも結局酔っ払いたちが俺の部屋に移動してきて、うるさかったから逃げてきた」
うんざりした顔を見て、もしかしたら自分たちは似た者同士なのかもしれないと才佳は思った。
暁はチラッとテーブルに積まれた本を見た後で呟いた。
「これ……全部読むの?」
「いやさすがに全部は読めないかな。興味あるやつ、とりあえず持ってきちゃっただけ」
「ふーん……」
そう言いながら一番上に積まれた本を手に取りページをパラパラと捲ったかと思うと、興味がなさそうにテーブルの上へと戻した。
「木崎さん、勉強熱心なんだね」
「んー勉強っていうか、単純に面白いから読んでるだけというか……でもこれから仕事に生かせそうなことはたくさん書いてあるよ」
「……何でそんなにやる気があるの?」
「えっ」
「仕事なんて、適当にこなしていけばいいんじゃないの」
思いがけない言葉に驚き、暁の顔を瞬きを繰り返しながら見つめる。
左右対称の綺麗な形の瞳には、あまり光が見えなかった。
「……どうしてそんな風に思うの?」
「……俺、就活も適当だったし、この会社入れたのもたまたま運がよかっただけだから。皆と違ってここで何かやりたいことがあるわけじゃないし」
暁が目を伏せて、小さく息を吐く。
「今日の研修も他のメンバーと温度差凄くて……木崎さんもだけど、俺以外全員凄い人に見えるっていうか。この先やっていけんのか、よくわかんなくなって……あぁごめん、こんな愚痴話して」
我に返った様子で謝る暁に、才佳は慌てて首を横に振った。
落ち着いていて仕事も出来そうに見える彼が、内心でそんなことを考えていたのは意外だった。
才佳とは関わりがない分、素を出しやすかっただけなのかもしれない。
それでも素直に悩みを打ち明けてくれたことは嬉しかった。