知らない明日が来たとしても
「……運命だったんだよ、って何」
そうぽつりと呟いた後で暁は耐えられないといったように吹き出し、笑い声を上げた。
「……笑うことないじゃん」
抗議の声を上げながらも、笑うと急に幼く見える暁の顔に緊張していた心がほぐれていくのを感じた。
「ごめんごめん、一生懸命励ましてくれてるのはちゃんと伝わったから」
笑い過ぎて滲んだ涙を指で拭いながら、ありがと、と暁は言った。
その瞳の中に、先ほどは無かった輝きが少し見えたような気がした。
「俺も八つ当たりみたいなことしちゃって、悪かったよ」
「えっ八つ当たりしてたの?」
どの部分だろうと会話を思い出していると、再び暁が笑い声を上げる。
「どうして笑うの!?」
「木崎さんって何ていうか……」
「……何?」
「……いや、何でもない。まぁ運命だったら仕方がないか」
独り言のようにそう呟いて、暁は席を立った。
「明日のプレゼン、頑張ろうな」
そう言い残してラウンジを後にする姿を見送る。
空回った上に少し馬鹿にされてしまったような気もするけれど、暁から前向きな言葉を引き出せたのは良かった気がする。
再び本の表紙を開いて、読書を再開する。
文字を追いながらもずっと、瞼の裏側に暁の笑顔が残り続けていた。