知らない明日が来たとしても
 
 
「……金曜はごめん。才佳が悩んでいるのに、あんな風に気持ちをぶつけるべきじゃなかった。自分のことしか考えてなかった」

 
 もう呆れられてしまったものだと思っていた。
 距離が離れそうになっても、彼はこうしてまた近くにいようとしてくれる。
 
 
「自分のことしか考えてなかったのは、私の方だよ」
 
 
 微かに首を横に振り、才佳は言った。
 そして目を伏せ少し間を置いた後で、再び口を開く。
 
 
「昨日崇人さんと、ちゃんと別れてきた」
 
 
 どんな顔をしていいのか分からなくて、企画書が開いたままの画面を見つめ続ける。
 
 
「電話したんだけどね、意外とあっさり終わっちゃった。悩んでたのが馬鹿みたい」

 
 崇人に電話をして自分の気持ちを伝えた時、彼はもう引き留めることもしなかった。
 『今までありがとう』の一言で通話は切れ、二人の関係はあっけなく終わった。
 
 
「三年も気付かず騙されてるなんてさ、見る目なさすぎだよね」

 
 自嘲気味に笑いながらキーボードを打ち込む姿を、暁は何も言わずに眺めている。
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