シェアオフィスから、恋がはじまる〜冴えない私と馴染めない彼〜
 ほうじ茶ラテを作りながら、奈美ちゃんが「うんうん」と頷く。

「余計なストレスがなくなったのが良かったんだね。でも、理由はそれだけじゃないでしょ?」

「えっ」

「だ・か・ら、恋のパワーは無限大って話! 二人はまだ付き合ってないの?」

 興味津々の顔で作りたてのほうじ茶ラテを渡してくれる奈美ちゃん。うう、この話題からは逃げられないか。

「うん、付き合ってないよ。斉木さんのことは好きだけど、向こうは私をどう思ってるのか分かんないし」

 私は正直な気持ちを打ち明けた。
 斉木さんとの仲については、さっき話した通りだ。たまに顔を合わせれば、雑談したり、ランチに行ったりはする。
 でも、彼は相変わらずクール一辺倒。この前みたいに顔を赤くしたり、はたまた頭を撫でてきたりなんてことは一切ない。
 斉木さんにとって、私は単なる知り合いでしかないのかな?
 悩み出した私を見て、奈美ちゃんが苦笑する。

「何難しい顔してんの。私は脈アリだと思うけどなぁ。だって、あのイケメンさん、いっつも一人でいるじゃない。一緒にランチに行ける関係ってレアだよ」

「そうかな……」

 そういえば、確かに斉木さんって一人で行動してるよね。会社の誰かと一緒にいるのを見たことがないな。IT企業って、そういう感じなのかな?
 そんなことを考えながら、ほうじ茶ラテをひとくち飲む。
 口の中に、甘くて、ちょっとほろ苦い味が広がった。
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