シェアオフィスから、恋がはじまる〜冴えない私と馴染めない彼〜
数日後。今日は斉木さんとランチの約束をしている。
「斉木さん、まだ来てないな……」
シェアオフィスのエントランスで待ち合わせなんだけど、斉木さんは珍しく遅れている。
メッセージを送っても既読にならないし、仕事が忙しいのかも。
ちょっと様子を見に行ってみようかな。
オフィスエリアに入ると、斉木さんの勤める会社のドアが開き、中から三人の男性社員が出てくるのが見えた。
あの人たちに、斉木さんが今仕事中かどうか聞いてみよう。
そう思っていたら、
「全く、斉木は相変わらず態度悪いな」
彼らの内の一人がそんなことを言い出したので、私はぎょっとした。
他の二人も斉木さんの悪口に乗じる。
「あいつ、客には媚売るくせに、俺らには厳しいよな」
「売上のことしか考えてないんだろ」
「いくら仕事ができても、人としてなってないな」
「むしろ、仕事ができて顔も良いからって調子に乗ってる」
三人の悪口が盛り上がるにつれて、カーッと怒りの感情が込み上げてきた。
斉木さんと同じ職場で働いてるのなら、彼の仕事ぶりを見ているのなら、そんなことは言えないはずなのに。
怒りが頂点に達した私は、彼らの元へずかずかと歩み寄った。
「あの!」
「……はい?」
突然、見知らぬ女が怒りを露わにやって来たからだろう、彼らは戸惑いの表情を浮かべている。
それに構わず、私は口を開いた。
「斉木さんは媚なんて売ってません! いつだって冷静で、お客さんとも良い関係を築いて……。厳しく見えるのは、それだけ真剣に仕事と向き合っているからで、本当は優しい人なんです。だから、斉木さんの悪口を言わないでください!」
斉木さんに対する言葉が次々と溢れ出す。
三人は気まずそうな顔で黙り込んでいたが、やがてハッと目を見開いて私の背後を見つめた。どうしたんだろう?
「工藤さん」
すると、静かな声で名前を呼ばれ、私は驚いて身体をビクッと震わせた。
「斉木さん、まだ来てないな……」
シェアオフィスのエントランスで待ち合わせなんだけど、斉木さんは珍しく遅れている。
メッセージを送っても既読にならないし、仕事が忙しいのかも。
ちょっと様子を見に行ってみようかな。
オフィスエリアに入ると、斉木さんの勤める会社のドアが開き、中から三人の男性社員が出てくるのが見えた。
あの人たちに、斉木さんが今仕事中かどうか聞いてみよう。
そう思っていたら、
「全く、斉木は相変わらず態度悪いな」
彼らの内の一人がそんなことを言い出したので、私はぎょっとした。
他の二人も斉木さんの悪口に乗じる。
「あいつ、客には媚売るくせに、俺らには厳しいよな」
「売上のことしか考えてないんだろ」
「いくら仕事ができても、人としてなってないな」
「むしろ、仕事ができて顔も良いからって調子に乗ってる」
三人の悪口が盛り上がるにつれて、カーッと怒りの感情が込み上げてきた。
斉木さんと同じ職場で働いてるのなら、彼の仕事ぶりを見ているのなら、そんなことは言えないはずなのに。
怒りが頂点に達した私は、彼らの元へずかずかと歩み寄った。
「あの!」
「……はい?」
突然、見知らぬ女が怒りを露わにやって来たからだろう、彼らは戸惑いの表情を浮かべている。
それに構わず、私は口を開いた。
「斉木さんは媚なんて売ってません! いつだって冷静で、お客さんとも良い関係を築いて……。厳しく見えるのは、それだけ真剣に仕事と向き合っているからで、本当は優しい人なんです。だから、斉木さんの悪口を言わないでください!」
斉木さんに対する言葉が次々と溢れ出す。
三人は気まずそうな顔で黙り込んでいたが、やがてハッと目を見開いて私の背後を見つめた。どうしたんだろう?
「工藤さん」
すると、静かな声で名前を呼ばれ、私は驚いて身体をビクッと震わせた。