シェアオフィスから、恋がはじまる〜冴えない私と馴染めない彼〜
「斉木さん……」
振り向くと、斉木さんが普段通りのクールな佇まいで立っている。
私と同僚のやり取りが聞こえていただろうに、表情一つ変えない。
「行こうか」
斉木さんは何事もなかったかのように私に近付くと、そっと肩を抱いてきた。
「えっ」
その大きな手は私の肩を優しく押して、ここを立ち去るように促す。
されるがまま、私は三人から離れて廊下を歩き、そのままシェアオフィスを出た。
外は青空が広がり、穏やかな風が心地良い。
だけど私は、複雑な気持ちでいた。
「ランチの前に、少し話そう」
そう言って、斉木さんは私の肩を抱いたまま、シェアオフィスの近くにある公園に入った。
昼時ともあって、ベンチでお弁当を食べている人がちらほら見られる。でも、広い公園なので、少し歩いたら人目につかない木陰のベンチに座ることができた。
「さっき、工藤さんは俺の同僚に言い返していたが、おそらく、あいつらが俺に文句でも言ってたんだろう」
「えっと、それは……」
斉木さんの口調は淡々としているけれど、本当のことを話していいのかどうか、私には分からない。
すると彼は、フッと苦笑した。
「いいんだ。いつものことだから。あいつらは、俺が非情な人間だと思っている。それは本当のことだ。特に反論する必要はない」
「そんなことないです! あの人たちは、斉木さんを誤解してます」
心の中で、怒りと悲しみがないまぜになる。
私の瞳から、涙がぽろっとこぼれた。
振り向くと、斉木さんが普段通りのクールな佇まいで立っている。
私と同僚のやり取りが聞こえていただろうに、表情一つ変えない。
「行こうか」
斉木さんは何事もなかったかのように私に近付くと、そっと肩を抱いてきた。
「えっ」
その大きな手は私の肩を優しく押して、ここを立ち去るように促す。
されるがまま、私は三人から離れて廊下を歩き、そのままシェアオフィスを出た。
外は青空が広がり、穏やかな風が心地良い。
だけど私は、複雑な気持ちでいた。
「ランチの前に、少し話そう」
そう言って、斉木さんは私の肩を抱いたまま、シェアオフィスの近くにある公園に入った。
昼時ともあって、ベンチでお弁当を食べている人がちらほら見られる。でも、広い公園なので、少し歩いたら人目につかない木陰のベンチに座ることができた。
「さっき、工藤さんは俺の同僚に言い返していたが、おそらく、あいつらが俺に文句でも言ってたんだろう」
「えっと、それは……」
斉木さんの口調は淡々としているけれど、本当のことを話していいのかどうか、私には分からない。
すると彼は、フッと苦笑した。
「いいんだ。いつものことだから。あいつらは、俺が非情な人間だと思っている。それは本当のことだ。特に反論する必要はない」
「そんなことないです! あの人たちは、斉木さんを誤解してます」
心の中で、怒りと悲しみがないまぜになる。
私の瞳から、涙がぽろっとこぼれた。