未来へ繋ぐ、禁断のタイムスリップ
笑顔の裏に潜む影
翌日お屋敷は、昨日の事件の余韻がまだ残っていた。
縁側で庭を眺めながら、私は少し落ち着こうとしていたが、心は重い。
「莉緒さん、おはようございます」
にこやかに声をかけてきたのは、美咲だった。
でもその笑顔の奥には、冷たい光が潜んでいることに私は気づいていた。
「おはようございます……」
小さく答えると、美咲はちらりと私を見つめ、低く囁くように言った。
「昨日は麗様に甘えて、いい気分だったでしょうね……」
その言葉の裏に、微かな嫌味が含まれているのを感じ、胸がぎゅっと締めつけられる。
――私は、お屋敷に馴染めない自分が情けなく思えた。
麗の前ではにこやかで、優しい美咲。
でも、私が麗の手を握ったり、近くにいると、微妙に顔つきが変わる。
その嫉妬心は、お屋敷の空気をわずかに重くしていた。
「……美咲さん」
思わず声を出すと、美咲は微笑みを戻す。
「何でもありませんよ、莉緒さん」
でも、その微笑みは、私にとっては刺さる刃のように感じられた。
その日の午後、庭で麗と散歩していると、ふと後ろから視線を感じる。
振り返ると、美咲がじっと私を見つめていた。
視線に耐えられず、自然に麗に体を寄せる。
「……気になるのか?」
麗の低く響く声に、私は小さく頷く。
「……少し、怖いの」
彼は私の手を取り、そっと握る。
「俺が守る!大丈夫だ!心配するな」
その言葉に、心がほっとする一方で、お屋敷の奥に漂う陰湿な空気を無視できない自分もいる。
――麗の優しさと美咲の嫉妬。
その両方が交錯する中で、私は少しずつ、屋敷で生き抜く覚悟を決めていく――。