未来へ繋ぐ、禁断のタイムスリップ

屋敷での小さな事件と距離のはじまり

お屋敷で迎えた初めての朝。
大きな窓から差し込む朝日の中、私は、鏡の前に立った。
見慣れない時代の服に戸惑いながらも、意外に似合う自分を見つめていた。

ノックの音、そしてドアが開いた
「朝食は、出来てる。いつでも食べられるぞ！」
麗の声が響く
黒いスーツ姿の彼は、昨日と変わらず傲慢な雰囲気を漂わせていた。
でも、どこか……優しく見えるのは気のせいだろうか。

「昨日の夜、突然現れたのに動じないって……不思議だな」
思わず口に出すと、麗は軽く笑った。
「慣れている。俺の屋敷に来る者は、皆それなりの理由があるものだ」

その言葉に、私だけじゃないんだ…ここに来る人
どこか複雑だった…いやいや何考えてる莉緒！初めて会った人なのに…信用してはダメ…

なぜか朝食を一緒に食べてる…緊張して味もしない
食べた事ない豪華な朝食…誰が作ったのかな？誰もいない雰囲気なのに…まさか！まさか！作ったの？
なんて1人であれこれ考えていたら…
突然、庭から猫の鳴き声がした。
「……また、あの猫か」

麗が窓から外を覗くと、黒と白の小さな猫が庭に飛び出している。
「こら、入るな！」
麗が叫ぶと、猫は軽やかに跳ねて屋敷の中へ。

「わ、私が追いかけます！」
咄嗟に立ち上がると、麗が軽く手を伸ばして私の腕を掴んだ。
「待て、危ない」

麗が止めなければ、食器に当たり大変な事になる所だった

その瞬間、視線が合う。
傲慢で俺様な目、でもその奥にある少しの優しさ。
心が揺れて、自然に顔が赤くなる。

朝食が終わり、庭を散歩…でもまた隣に？…なぜ？
付きまとう？考えながら歩いていた。
そして階段に差し掛かった時
「手を貸す……危ないだろう」
そう言って、麗はそっと私の腕を掴んだ。

彼の言葉に、私は恥ずかしさとドキドキでうまく答えられなかった。どうしよう…
胸の奥はざわめいていた。
――この人と、もっと近づきたい。いや…まだ会ったばかりなのに…複雑だった。

一体彼は何者？