未来へ繋ぐ、禁断のタイムスリップ

小さな事件と麗の素顔

麗は、少し仕事があると言って書斎へ行った。

私は、お屋敷が静かすぎて少し息が詰まりそうだから
縁側で庭の景色を眺めながら、さっきの廊下でのやり取りを思い返していた。

「……あの部屋のこと、気になる」
小さな声でつぶやくと、背後から麗の低い声がした。

「覗いたな」

振り返ると、彼は少し眉をひそめながらも、怒った様子ではなかった。
その表情に、私は思わず胸が高鳴る。

「ごめんなさい……でも、どうしても気になって……」

麗は少し間を置いてから、柔らかく息を吐いた。
「……好奇心か。悪くない」

俺様な彼が、少しだけ笑った――その瞬間、普段の傲慢さが影を潜め、意外な優しさが顔を覗かせた。

その時、庭で突然、猫の鳴き声が響いた。
「また……あの猫?」
思わず声を上げると、黒と白の小さな猫が茂みから飛び出してきて、私の前を猛スピードで駆け抜けた。

「きゃっ!」
バランスを崩して転びそうになった瞬間、麗が素早く私を抱き寄せた。

猫の予測不能な動きと、慣れない庭の段差で動揺していた私は、心臓が跳ね、思わず息が詰まった。

「……お前、意外と怖がりだな」
低くつぶやくその声に、思わず大声で
「だって、びっくりしたんだもん!」と、叫んでしまった。
麗は、くすっと笑った。

「やっぱりお前は!おもしろいやつだな」といい
今度は大声で笑った

不器用で傲慢な彼の中に、こんな一面があるなんて――。
屋敷の静けさと、二人だけの時間が、心の奥をじんわりと温めていく。

――まだ触れられない距離感。
でも確かに、麗の存在は、私の心に少しずつ深く入り込んでいく――。
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