街の優しい弁護士の偽装恋人……のはずが、本命彼女になりました!
「どうもあなたの前だと調子が狂うようです」
 彼は困ったように遼子を見た。
「あなたは少し妹に似ていましてね。それで最初はあのカフェで妹が仕事をしているものだと勘違いしました」
「妹さんに。だから……。仲いいんですね」

「そうですね。今日のことも妹がアドバイスをくれまして」
「どんなですか?」
「お恥ずかしい話、クリーニング代を多めにお渡しすればいいものだと思っておりました。それではダメだ、服を弁償しろと店を指定されました」
「私はクリーニング代をもらうのすら、すらもらいすぎだと思いました」
 彼が強く待ち合わせを言って来た理由がわかり、遼子は納得した。

「申し訳ありません。お嫌ではなかったですか?」
「大丈夫です」
 そう答えるものの、彼にじっと見られると圧がすごくて、ほんとはびびってます、と本心を言いそうになる。

 いったいどういうことだろう。弁護士なのにまるで刑事みたいに思えて来る。刑事の本物を見たことないからわからないけど。
 なのに妹に弱くて不器用で、ギャップが面白い。イケメンだからといって女性慣れしているわけではないようなのも、好感を持った。



 喫茶店を出ると、一瞬、目がくらんだ。秋になって日差しはやわらいだのに、太陽はまぶしいままだ。
 タクシーを断ると、彼が駅まで送ってくれることになった。そこまで断るのも無粋かと、送ってもらうことにした。
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