街の優しい弁護士の偽装恋人……のはずが、本命彼女になりました!
ノートパソコンを片付け、バッグを肩にかけてレジに向かう途中で彼らの席を通りかかったそのとき。
「もういいわよ、あんたなんか!」
黒髪の女性が叫びながらコップ横なぎにして中身を男に浴びせる。
「きゃ!」
思わず悲鳴を上げていた。ノートパソコンがはいったバッグをかばったので、遼子もしっかり水をかぶってしまう。
黒髪の女は唇を歪めて彼をにらみ、席を立った。そのまま遼子をおしのけて店を出て行く。
遼子は呆然とそれを見送った。他人を巻き込んでおいて謝りもしないなんて。
「すみません、大丈夫……じゃないですね」
男が立ち上がり、遼子に声をかける。
「えっと……」
遼子はバッグを確認する。幸い、ノートパソコンには水がかかっていないようだ。
「大丈夫ですか、お客様」
店員がおしぼりを持って来てふたりに渡してくれた。
「……なんとか大丈夫です」
「すみません、お騒がせを」
男性は冷静に頭を下げる。水をかぶったことなんてなかったかのようだが、髪についた水滴がぽたりと落ちるのがいろっぽい。はりついたシャツからは地肌が透けて見えて、どきどきしてしまい、そっと目をそらした。男性にセクシーさを感じるなんて初めてだ。
おしぼりで拭いていると、彼は内ポケットから革の名刺入れを取り出し、さらさらと連絡先を書いて遼子に示す。
「クリーニング代をお支払いします。こちらに連絡を」
「いえ、そんなわけには……」
「もういいわよ、あんたなんか!」
黒髪の女性が叫びながらコップ横なぎにして中身を男に浴びせる。
「きゃ!」
思わず悲鳴を上げていた。ノートパソコンがはいったバッグをかばったので、遼子もしっかり水をかぶってしまう。
黒髪の女は唇を歪めて彼をにらみ、席を立った。そのまま遼子をおしのけて店を出て行く。
遼子は呆然とそれを見送った。他人を巻き込んでおいて謝りもしないなんて。
「すみません、大丈夫……じゃないですね」
男が立ち上がり、遼子に声をかける。
「えっと……」
遼子はバッグを確認する。幸い、ノートパソコンには水がかかっていないようだ。
「大丈夫ですか、お客様」
店員がおしぼりを持って来てふたりに渡してくれた。
「……なんとか大丈夫です」
「すみません、お騒がせを」
男性は冷静に頭を下げる。水をかぶったことなんてなかったかのようだが、髪についた水滴がぽたりと落ちるのがいろっぽい。はりついたシャツからは地肌が透けて見えて、どきどきしてしまい、そっと目をそらした。男性にセクシーさを感じるなんて初めてだ。
おしぼりで拭いていると、彼は内ポケットから革の名刺入れを取り出し、さらさらと連絡先を書いて遼子に示す。
「クリーニング代をお支払いします。こちらに連絡を」
「いえ、そんなわけには……」