街の優しい弁護士の偽装恋人……のはずが、本命彼女になりました!
 彼に言われるままに試着し、店員に「お似合いです」と持ち上げられ、試着室では値札を探したが見つからず、青ざめた。
 結局、一番地味に思えるワンピースを選んで買ってもらった。
 支払いは彼がカードでしたので、値段はわからずじまいだ。

 怖い。いったいいくらしたんだろう。
 遼子ははらはらしながら彼について店を出る。
 明るい空の下、遼子の心はまったく晴れていない。

「逸水さんのせいではないのに買っていただいて、申しわけありません」
「私にも責任はありますからね」
 そういえば、あれはいったいなにでもめていたのだろう。気になるが、そんなことを聞くわけにもいかない。

 今日はこのまま解散だろうか。
 お礼にお茶ぐらいおごるべきだろうか。だが、お茶を申しでたらまた彼に奢られてしまうかもしれない。
 正解がわからずに間を持て余していたときだった。

「……お茶でもいかがですか」
 彼からそんな言葉が飛び出して、遼子は驚いた。
「でしたら私が奢ります! えっと、近くにお店は……」
 慌ててスマホを出して検索しようとする。

「私の知っている店でもよろしいですか? 近くにありますので」
「はい」
 すたすたと歩く彼の後ろをついて、早足で歩く。
 もう少し歩調を合わせてくれたらいいのに、と思ったら、はた、と彼が立ち止まった。
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