不運を呼び寄せる私ですが、あなたに恋をしてもいいですか?
③
【社内ブレイクルームデザインコンテスト】
歩実が働き始めて初めてのコンテスト募集が始まった。
SHIMAGA建設の本社には、もともとワンフロアを占める社食があるのだが、各フロアごとにもオープンスペースや休憩スペース、カフェスペースが設けられている。今回はその中の休憩スペースリニューアルに伴うコンテストだ。
参加を予定している歩実は、休憩時や仕事終わりに対象となっているブレイクルームに立ち寄り、イメージを膨らませていた。
自宅アパートに帰れば、いろいろな企業のブレイクルームをネットで検索する。時間があれば、デザインに関する事ばかりを考える始末。久しぶりにデザインできることが嬉しくて、あまり得意ではない総務の仕事も頑張ることができている。
「今日も頑張ろう!」
都心にそびえ建つオフィスビルを見上げると、気合を入れエントランスを抜けた。歩実は健康のために所属部署のある3階まで毎日非常階段を使っている。この日もいつものように階段を上っていた。上りながらデザインのことを考えてしまっていた歩実は注意散漫になり、気がつけば5階まで上ってきていた。どうりで息切れするはずだ。階段を下りる前に、5階ドアの前で呼吸を整えた。
「さて、下りますか」
踵を返した瞬間、勢いよく非常階段のドアが開いた。
歩実はドアに突き飛ばされ、階段の手摺りに思いっきり身体をぶつけてしまった。
痛いというより、上手く呼吸ができずにその場でうずくまる歩実。
「あっ! すみません!」
ドアを開けたであろう男性が歩実の顔を覗き込む。
「どこか痛みますか?」
男性の問いに答えたいけれど、上手く言葉が出てこない。
歩実が働き始めて初めてのコンテスト募集が始まった。
SHIMAGA建設の本社には、もともとワンフロアを占める社食があるのだが、各フロアごとにもオープンスペースや休憩スペース、カフェスペースが設けられている。今回はその中の休憩スペースリニューアルに伴うコンテストだ。
参加を予定している歩実は、休憩時や仕事終わりに対象となっているブレイクルームに立ち寄り、イメージを膨らませていた。
自宅アパートに帰れば、いろいろな企業のブレイクルームをネットで検索する。時間があれば、デザインに関する事ばかりを考える始末。久しぶりにデザインできることが嬉しくて、あまり得意ではない総務の仕事も頑張ることができている。
「今日も頑張ろう!」
都心にそびえ建つオフィスビルを見上げると、気合を入れエントランスを抜けた。歩実は健康のために所属部署のある3階まで毎日非常階段を使っている。この日もいつものように階段を上っていた。上りながらデザインのことを考えてしまっていた歩実は注意散漫になり、気がつけば5階まで上ってきていた。どうりで息切れするはずだ。階段を下りる前に、5階ドアの前で呼吸を整えた。
「さて、下りますか」
踵を返した瞬間、勢いよく非常階段のドアが開いた。
歩実はドアに突き飛ばされ、階段の手摺りに思いっきり身体をぶつけてしまった。
痛いというより、上手く呼吸ができずにその場でうずくまる歩実。
「あっ! すみません!」
ドアを開けたであろう男性が歩実の顔を覗き込む。
「どこか痛みますか?」
男性の問いに答えたいけれど、上手く言葉が出てこない。